前回、ユダヤ教では“食べて良い食物と食べてはいけない食物”、また“肉と乳製品を一緒にしてはいけない”等に触れてみました。今回はその規定について述べたいと思います。
食物の規定1:旧約聖書のレビ記11章に食べて良い生き物といけないものの一覧が載っています。はっきりとした理由は書かれていませんが、現代人の為のユダヤ教入門によれば「ユダヤ教は、ユダヤ人にモラルある民であり、聖なる民であることを命じている….動物的活動の中で、もっとも頻度の高い、食べる行為の品位を高める為に掟を規定している」。食べて良い動物は“割れたひづめと反芻”が絶対条件。牛が良くて、豚が駄目なのは、豚は反芻しないから不浄とされているようです。
食物の規定2:肉と乳製品を一緒に食べない理由。聖書の中に「子山羊をその母の乳で煮てはならない」という掟が三度繰り返し出てきます。それがユダヤ教のラビ(聖職者)によって拡大解釈されて、肉と乳製品をわけて食べる様に規定されるようになったようです。この肉と乳製品を一緒にしてはならない掟が、ユダヤ教の家庭で、台所用具・食べ物・洗い場まではっきり区別している理由です。
ユダヤ教徒はいまだに旧約聖書の世界に生きているのでしょうか? 正統派ユダヤ教徒は別として、イスラエルにおいてもここまで食事規定を厳重に守っている人は、さすが多くは無いようです。基本的に豚肉は食べない、肉と乳製品は別にするなどは厳しく実行されている様です。コーシャ食品は原材料から製造プロセスまでラビによる抜き打ち検査が行われている為、オーガニックと同じように「健康的で安全な食品」として世界に浸透している。2020年東京オリンピックに向け、日本でもコーシャの認定をとる製造業が増加する見込みの様だ。