コース形式のロシア料理
“ロシア料理は”と言われて、まず誰でも思い浮かべるのは
ボルシチと
ピロシキでしょう。でも大半の人はロシア料理を口にした事がないのでは。ロシア料理の基礎は、厳しい風土に暮す農村住民の間から生まれた農民料理。全体としては、魚・家禽、野生の鳥獣の肉、キノコなどの煮込料理やスープが多く、一般庶民の食生活は慎ましいものだったらしい。
一方、貴族の食事は豪華絢爛だった様だ。50〜100種の料理は当たり前。食器類も金・銀など高価なもの。特に上流階級ではフランス料理が主流で、わざわざフランスの料理人を招き入れたほど。オードブルの次はスープなどの、現在のフランス料理に見られるコース形式はロシアが発祥地。理由は、極寒地のロシアでは、料理が冷めないように、順次に料理を出していた為である。ビーフストロガノフやキエフ風コトレータなどはフランス系ロシア料理に由来する。旧ソ連時代を除いて、ロシア正教会では、一年のうち200日程、「肉を食べてはいけない」、「牛乳を飲んではいけない」日があったと言われています。今でも年配の方はこの習慣を守り続けているそうです。
12世紀以降、極東地域を含めたロシア全域でヨーロッパの食文化が少しずつ採り入れられてきました。その代表格がライ麦を原料とした「黒パン」。
ロシアの食卓には欠かせないものになりました。筆者が20代の頃、ハバロスク経由で10日間程旧ソ連を旅行したとき、この黒パンを毎日食べさせられ、うんざりした事を思い出します。兎に角、旧ソ連時代の食量事情は最悪だったと思います。超不味い黒パンの思い出が蘇ります。