日本でイタリアン・イタ飯で親しまれているイタリア料理の歴史は、紀元前のローマ帝国の時代まで遡る。当時の裕福なローマ人たちは、腕利きの料理人を集め贅を尽くした様だ。彼らは満腹になると、鳥の羽で喉を刺激し、作為的に嘔吐を繰り返し、食事に2~3時間以上もかけた。セネカは「ローマ人は食べるために吐き、吐くために食べる」と評している。なんともナンセンスで贅沢な話である。
イタリア料理はフランス料理の原型。1533年、フィレンツェ名門貴族メディチ家のカテリーナがフランスのアンリ2世に嫁いだ事をきっかけに、当時、粗野だったフランス料理やテーブルマナーが洗練されたとされる。イタリア料理は、地方・地方で育んだ郷土料理にあると言われる様に地方色が強く、フランス料理の様に体系化されていない。
その最も大きな特徴は、素材の持ち味を生かすところにある。三方を海に囲まれ、長靴形の南北に細長い地形や、地域によって気候風土や特産物も違うので、料理にかなりの変化があるようだ。フランス料理に近い北部イタリア料理。北部と南部がミックスされた中部イタリア料理。外国人がイメージする典型的なイタリア料理は南部イタリアの料理。しかし、共通項は、トマトソースやオリーブ油がベース。イタリア料理の魅力は、生まれ育ったところが一番というイタリア人の郷土愛と、いわゆる"おふくろの味"に尽きるそうだ。そういえば、イタリア映画で、ふとっちょのお母さんの手料理を囲んだ、幸せそうな食事シーンをよく目にする。