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スペイン編

その2 食と宗教

生ハムとソーセージの写真おつまみの定番

 スぺイン料理には豚肉の使用が多い。豚肉と豆の煮込み料理など多彩である。生ハムはワインのおつまみの定番。またソーセージ類も驚くほど種類が多い。
 8世紀から16世紀の800年もの間、イスラム教徒に支配され、食文化において強い影響を受けたはずなのに。豚肉を絶対食べないイスラムの教えに反して、豚肉料理が多いのは何故? 答えは16世紀から18世紀にかけて、国と教会がスペインのカトリック化の為、豚肉を推奨し、豚肉を忌避するイスラム教徒やユダヤ教徒を迫害するなど、国を挙げての反イスラムと反ユダヤ政策にあったようだ。多くのスペイン人は自分がイスラム教徒でもユダヤ教徒でもない証として、ワインを飲み(イスラム教徒は禁酒)、豚肉を進んで食べたと言われている。一種の"踏み絵"だった様だ。イスラム教徒追放後は、例えば、パエリアに豚肉と魚介類(イスラムの戒律ではミックスはタブー)が一緒に使われ、料理にも反イスラムの意思が強調され今日に至る。
 周囲を海に囲まれたスペインでは魚介料理が多い。ここでも、宗教が絡む。イスラム教徒とユダヤ教徒はうろこのある魚を食べ、カトリック教徒はイカ、タコ、エビなどのうろこの無い魚を食べていた。魚は脂の少ない魚が好まれている。北海で獲れたタラ、メルルーサのほか、マイワシ、クロダイ、カレイ、ヒラメ、アンコウ等。貝はムール貝とアサリがよく食べられている。
 考えてみれば、日本でも江戸時代には、肉を食べることが禁止されていた。食文化が宗教・国策で左右される事は、洋の東西を問わずあるのだろう。現在、日本では好きなものが食べられて幸せである。